猫はペットショップとブリーダーどっち?違いと選び方を解説【実体験あり】

猫の飼い方

「猫を迎えたいけど、ペットショップとブリーダー、結局どっちがいいんだろう」

週末に立ち寄ったショッピングモールで、ガラス越しに目が合った子猫。家に帰ってスマホで調べると、「ブリーダーから迎えたほうがいい」という記事がずらりと出てきます。でも、そのブリーダーが信頼できるかどうかは、どうやって確かめればいいのでしょうか。ここで手が止まってしまう方は、きっと少なくないと思います。

この記事では、「どちらの業態が優れているか」という問いを一度手放します。かわりに、目の前の相手が信頼できるかどうかを、飼い主自身が確かめる方法をまとめました。ペットショップ・ブリーダー・保護猫の3つについて、判断に使える材料を並べています。

根拠には、環境省の調査結果と法令、猫5,726頭を対象とした研究、猫の獣医師団体(AAFP)のガイドラインを使っています。確認できなかったことは「確認できませんでした」と書きます。

「ペットショップかブリーダーか」で決まることは、思っているより少ない

✅ 環境省の一斉調査では、ブリーダー約1,400事業所のうち約5割で法令違反が確認されています。業態は品質を保証しません

✅ 判断材料になるのは、法律が販売時に義務づけている「対面説明18項目」に、具体的に答えられるかどうかです

✅ 迎え先を問わず確認したいのは「生後何週齢で母猫ときょうだいから離れたか」。日本の法定下限は生後56日(8週)です

✅ 猫5,726頭の研究では、生後8週未満で離乳した猫で見知らぬ人への攻撃性が報告される割合が高いという関連が示されています

⚠️ ただしこの研究はアンケートによる横断研究で、因果関係を証明したものではありません。週齢は「予測の材料」であって「保証」ではないという前提で読んでください


  1. 1. ペットショップとブリーダー、結局どちらがいいのか
    1. 結論:業態だけでは決まらない
    2. 環境省の一斉調査が示したこと
  2. 2. 迎え先を問わず、最優先で確認したい「週齢」
    1. 猫5,726頭の研究で分かったこと
    2. この研究から「言えないこと」
    3. 日本の法律では「生後56日」が下限
    4. 個人間の譲渡には、法律上の下限がない
    5. ここまでのまとめ
  3. 3. 法律が定める「18項目」で見分ける
    1. 特に「効く」4項目
    2. ここまでのまとめ
  4. 4. ペットショップから迎える場合
    1. メリット
    2. デメリット
    3. 確認したいこと
  5. 5. ブリーダーから迎える場合
    1. メリット
    2. デメリット・注意したい点
    3. 我が家の実体験(ブリーダー選び)
    4. 猫種によっては、遺伝子検査が使える
    5. 確認したいこと
  6. 6. 保護猫をお迎えする場合
    1. 数字で見る、いまの保護猫
    2. メリット
    3. デメリット
    4. 保護猫カフェでの実体験
    5. 確認したいこと
  7. 7. 3つの迎え方の比較
  8. 8. 迎えたあと、すぐに必要になること
    1. マイクロチップの変更登録は30日以内
    2. 迎えて最初の健康診断とワクチン
    3. 先住猫がいる場合・2匹同時に迎える場合
    4. 迎える前に、生活を点検する
  9. 9. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 生後2か月の子猫を勧められました。早すぎますか?
    2. Q2. すでに早い週齢で迎えてしまいました。手遅れですか?
    3. Q3. ペットショップとブリーダー、安いのはどちらですか?
    4. Q4. 見学を断られました。やめたほうがいいですか?
    5. Q5. 血統書があれば健康ということですか?
    6. Q6. 保護猫は一人暮らしでも譲ってもらえますか?
  10. 10. まとめ
  11. 出典・参考文献

1. ペットショップとブリーダー、結局どちらがいいのか

結論:業態だけでは決まらない

先に結論を書きます。ペットショップとブリーダーのどちらが良いかは、業態だけでは決まりません。

理由は単純です。どちらにも丁寧な事業者がいて、そうでない事業者もいるからです。そして「ブリーダー直販なら安心」という広く共有された前提は、国の調査結果に支えられていません。

環境省の一斉調査が示したこと

2024年2月、環境省がペットオークションとブリーダーへの一斉調査結果を公表しました。報告された内容は次のとおりです。

項目結果
調査したブリーダー約1,400事業所
法令違反が確認された事業所約700事業所(約5割)
帳簿の不備496件
繁殖台帳の不備314件
帝王切開に伴う出生証明書の不備128件
8週齢規制違反50件
環境省報道発表(2024年2月15日)より作成

さらに、調査したペットオークション会場では、取り引きされた犬猫の生年月日に曜日の偏りが確認されました。生年月日の改ざんが強く疑われると報告されています。環境省は2024年9月、ペットショップを含む関係業界に対し、生年月日の改ざんや幼齢犬猫の販売等の是正と法令の遵守を改めて強く要請しました。

ここで押さえたいのは、この調査の対象がブリーダーとオークションだったという点です。「ペットショップは心配だがブリーダーなら安心」という図式は、この調査からは出てきません。

一方で、この調査からペットショップの販売週齢について何かが言えるわけでもありません。小売店が何週齢の子猫を店頭に出しているかを示す統計は、探した範囲では確認できませんでした。どちらの業態についても、「全体としてこうだ」と言える材料は乏しいのが現状です。

では何を見ればいいのか。次の章から、その材料を順に見ていきます。


2. 迎え先を問わず、最優先で確認したい「週齢」

業態で決まらないなら、何を見ればいいのか。ひとつ目の答えが「週齢」です。

猫5,726頭の研究で分かったこと

ヘルシンキ大学の研究チームが、家庭で暮らす猫5,726頭(40猫種)の飼い主アンケートを分析した研究があります。子猫が母猫ときょうだいから離された週齢と、その後の行動との関係を調べたものです。

報告された結果は次のとおりです。

  • 生後8週未満で離乳した猫は、12〜13週で離乳した猫より、見知らぬ人への攻撃性を示す割合が高かった
  • 生後14〜15週で離乳した猫は、早期に離乳した猫より、見知らぬ人への攻撃性が低かった
  • 生後14〜15週で離乳した猫は、12〜13週で離乳した猫より、過剰グルーミング(常同行動)が少なかった
  • おびえやすさ(恐怖行動)については、リスクの上昇が示されなかった

同じ調査(約6,000頭)では、80%以上の猫に軽度の行動上の問題が、25%に重度の行動上の問題が報告されています。人見知り、毛布などを吸うウールサッキング、過剰グルーミング、攻撃性などです。ただしこれはフィンランドの飼い主による自己申告アンケートの数値で、純血種に偏りがあります。日本の猫の有病率を示すものではありません。それでも「うちの子は少し噛み癖がある」が珍しくないことは、うかがえます。

研究チームは、推奨される離乳週齢を2週間引き上げること(フィンランドで当時推奨されていた12週から14週へ)を提案しています。

この研究から「言えないこと」

ここは分けて考える必要があります。

この研究は、飼い主へのアンケートをもとにした横断研究です。ある一時点の情報を集めて関連を調べたもので、実験ではありません。著者自身、論文の中で「今回の結果から、早期離乳が行動の変化の原因であると結論することはできない」と明記しています。

つまり正確な読み方は、「8週未満で離すと攻撃的になる」ではありません。「8週未満で離された猫のグループでは、攻撃性が報告される割合が高かった」です。

もうひとつ。これは集団としての傾向であり、個々の猫の性格を予測するものではありません。14週まで待った猫が必ず穏やかになるわけでも、8週で迎えた猫が必ず問題を起こすわけでもありません。

それでも週齢を優先する理由は、迎える側にできることが限られているからです。週齢は、事前に確認できて、しかもある程度選べる数少ない条件です。だから最初に聞く価値があります。

日本の法律では「生後56日」が下限

日本では改正動物愛護管理法により、2021年6月1日から、犬猫等販売業者が繁殖させた犬猫のうち生後56日(8週齢)を経過しないものについて、販売・販売のための引渡し・展示が禁止されています。

週齢位置づけ
8週(56日)日本の法律上の下限。犬猫等販売業者はこれ未満で販売・引渡し・展示ができない
12〜13週研究の中で比較の基準(当時の推奨週齢)として扱われていた群
14〜15週研究で、見知らぬ人への攻撃性と過剰グルーミングの報告が少なかった群

法律を守っていることと、猫にとって望ましいことは、同じではありません。8週で引き渡される子猫は法的には何の問題もありませんが、研究で行動上の報告が少なかった群(14〜15週)からは6週間ほど早いことになります。

個人間の譲渡には、法律上の下限がない

見落とされがちな点があります。56日規制の対象は「犬猫等販売業者」です。一般の飼い主が飼っている猫が繁殖し、友人や親戚に子猫を譲る場合、動物愛護管理法による規制はありません。

これは抜け穴という話ではなく、知っておきたい事実です。「知人から譲り受ける」「保護された子猫を迎える」といった経路では、法律による最低ラインが働きません。そのぶん、週齢の確認は自分で行う必要があります。

💡 迎え先を問わず、必ず聞いてほしい2つの質問
「この子の生年月日はいつですか?」
「母猫やきょうだいと、いつまで一緒に過ごしていましたか?」
この2つに具体的に答えられるかどうかが、相手を測る最初の材料になります。

なお、猫の社会化期(社会的な学習に最も敏感な時期)は生後2〜9週ごろとされています。ここで大事なのは、AAFPのガイドラインが「この時期が終わっても学習は止まらない」と明記している点です。同ガイドラインには、生後3〜8か月の子猫50頭が参加した教室で、86%が週1回・6週間のプログラムを修了したという報告も紹介されています(この86%は修了率であり、行動が改善した割合ではありません)。「もう遅い」と諦める必要はありません。

ここまでのまとめ

  • 週齢と行動には関連が報告されているが、因果関係は証明されていない
  • 法定下限は8週。研究で報告が少なかったのは14〜15週で離乳した群
  • 個人間の譲渡には法的な下限がないため、自分で確認する必要がある

3. 法律が定める「18項目」で見分ける

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

猫を販売する事業者には、購入しようとする人に対して現物確認と対面説明を行う義務があります。事業所でその猫の現状を直接見せたうえで、書面を用いて対面で説明することが求められています。ペットショップでもブリーダーでも、事業として販売する以上は同じです。

特に「効く」4項目

説明すべき内容は18項目と定められています。そのうち、迎え先を見分けるのに直接使えるのが次の4つです。

項目この項目で分かること
⑫ 生年月日(輸入等で不明な場合は推定生年月日および輸入年月日等)現在の週齢。書類と口頭の説明が一致するか
⑭ 繁殖を行った者の氏名又は名称および登録番号又は所在地誰が繁殖させた子なのか。ショップ経由でも説明義務がある
⑯ 病歴、ワクチンの接種状況等迎えた直後に必要な医療の見通し
⑰ 親および同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況猫種特有の病気のリスク。血統書とは別の情報
環境省「対面説明が必要な18項目」より抜粋。⑰には「関係者からの聴取り等によっても知ることが困難なものを除く」との除外規定があります

ここが重要です。「ペットショップでは親猫のことが分からない」と言われることがありますが、正確ではありません。繁殖者の氏名と登録番号、親きょうだいの遺伝性疾患の発生状況は、法律上の説明義務の対象です。親猫を自分の目で見る機会が得にくいのは事実ですが、情報そのものが存在しないわけではありません。

ただし⑰には「関係者からの聴取り等によっても知ることが困難なものを除く」という除外規定があります。必ず答えが返ってくるとは限りません。大事なのは、答えられない場合にその理由を説明できるかどうかです。

質問をはぐらかされる、書面が出てこない、猫本体を見せてもらえない。どれも現物確認・対面説明の義務が果たされていない可能性を示すサインです。ペットショップでもブリーダーでも、確かめ方は同じです。

環境省は、購入時に生年月日や飼養方法の説明を対面で確認し、不審に感じたら都道府県等の動物愛護管理部局に相談するよう呼びかけています。

ここまでのまとめ

  • 現物確認と対面説明は、販売業者の法律上の義務
  • 繁殖者名・登録番号・親きょうだいの遺伝性疾患も説明義務の対象
  • 答えられない、書面がない、見学を断られる——これらは業態を問わない注意信号

4. ペットショップから迎える場合

最も身近で、猫を直接見て選べる方法です。

メリット

  • 実際に子猫の様子をその場で確認できる
  • 比較的短い期間でお迎えできるケースが多い
  • トイレやフードなどの飼育用品を同時に揃えやすい
  • 複数の猫種を一度に見比べられる

デメリット

  • 親猫や育った環境を自分の目で見る機会は得にくい(ただし繁殖者名・登録番号・親きょうだいの遺伝性疾患は説明義務項目です)
  • 繁殖からお迎えまでに、流通の段階が挟まることがある
  • 店舗ごとに、説明の丁寧さの差が大きい

確認したいこと

  • 生年月日と、書面との一致
  • 母猫やきょうだいと過ごした期間
  • 繁殖者の名前と登録番号
  • 入店してからの日数(少なくともその日数以上は、母猫と離れているということです)
  • 現物確認と対面説明が、書面を用いて行われているか

個人的な印象としては、ペットショップの子猫は人に慣れていることが多いと感じます。ただしこれは店舗環境や個体差による部分が大きく、一般化できる話ではありません。


5. ブリーダーから迎える場合

特定の猫種を専門に繁殖しているため、その猫種の特性を理解したうえでお迎えできる点が特徴です。

メリット

  • 親猫やきょうだい猫を、実際に見せてもらえる場合がある
  • 飼育環境をその場で確認できる
  • 猫種特有の性質について、事前に説明を受けられる
  • 引き渡し後も相談に応じてもらえることがある

猫種の情報が事前に得られることには、根拠のある意味があります。同じ5,726頭のデータを使った別の研究では、19の猫種・猫種グループのあいだで、10種類の行動特性に差が見られました。猫種によって行動の傾向が異なることは、データで示されています。

同じ研究では、3つの猫種を対象に7つの特性の遺伝率も推定され、0.40〜0.53という値が報告されました。これは猫種間の差ではなく、猫種の中で行動特性がどれだけ遺伝によって説明されるかを示す数値です。

そしてこの研究は、猫種の中にも大きな遺伝的なばらつきがあることを報告しています。猫種は傾向を教えてくれますが、目の前の1匹を言い当てるものではありません。

デメリット・注意したい点

  • お迎えまで時間がかかる場合がある
  • 人気猫種は予約待ちになることもある
  • 「ブリーダーだから安心」とは言えない(環境省の調査で、約1,400事業所の約5割に法令違反が確認されています)

引き渡し週齢を十分に取るブリーダーは確かに存在します。ただしそれは、ブリーダーという業態によって保証されるものではありません。「うちは何週齢で引き渡します」と明言でき、その根拠を説明できるかどうか。見るべきはそこです。

我が家の実体験(ブリーダー選び)

我が家では、ノルウェージャンフォレストキャットとサイベリアンの2匹とも、ブリーダーさんからお迎えしました。選ぶときに重視したのは、次の2点です。

  • ひとつの猫種のみを専門に扱っていること
    その猫種に特化しているぶん、知識や経験が深いと考えました
  • TICAなどの国際団体に登録していること
    血統管理が一定の基準に沿って行われている点を評価しました

実際に迎えてみて、性格や特徴の説明を事前に受けられたこと、親猫の情報が分かることは大きな安心材料になりました。ノルウェージャンフォレストキャットやサイベリアンのような大型長毛種は成長後の個体差も大きいため、事前情報の価値を強く感じています。

ただし今振り返ると、この2点は「必要条件のひとつ」でしかありませんでした。前述の18項目を書面で受け取れるか、引き渡し週齢を明言できるか。こちらのほうが確実な物差しです。

猫種によっては、遺伝子検査が使える

猫の遺伝性疾患には、遺伝子検査が利用できるものがあります。埼玉県獣医師会は、肥大型心筋症・多発性嚢胞腎症・ピルビン酸キナーゼ欠損症・骨軟骨異形成症・進行性網膜萎縮症の5つについて、遺伝子検査が利用できると説明しています。

好発猫種として挙げられている例を見ると、ピルビン酸キナーゼ欠損症にはノルウェージャンフォレストキャットとサイベリアンが、肥大型心筋症にはメインクーンやラグドールなどが含まれています。迎えたい猫種に検査可能な疾患があるなら、両親の検査結果を見せてもらえるかを聞いてみてください。

なかでも肥大型心筋症は、猫に多い心臓病として知られています。どんな病気で、家庭で何を見ればいいのかは、こちらで詳しく解説しています。

→ 猫の肥大型心筋症(HCM)|7匹に1匹の心臓病を見つける方法

確認したいこと

  • 何週齢で引き渡すか、そしてその理由
  • 母猫やきょうだいと過ごしている様子を見せてもらえるか
  • 飼育環境を実際に見学できるか
  • 猫種特有の遺伝性疾患について、検査の実施状況と説明があるか
  • 第一種動物取扱業の登録番号を提示できるか

6. 保護猫をお迎えする場合

保護施設や譲渡会、保護猫カフェなどを通じて、新しい家族を探している猫を迎える方法です。

数字で見る、いまの保護猫

環境省の統計によると、令和6年度の猫の状況は次のとおりです。

項目頭数(令和6年度)
引取り数22,010頭
譲渡数16,854頭
返還数225頭
殺処分数4,866頭
環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」より作成

行政に引き取られた猫の多くが譲渡につながっている一方で、年間4,866頭が殺処分されている——これが現在地です。

メリット

  • 譲渡費用が比較的抑えられることが多い
  • 成猫にも出会えるため、性格がすでに分かっている子を選べる
  • 実際に触れあいながら相性を確認できる
  • ワクチンや不妊去勢、感染症検査を済ませてから譲渡する団体もある

「性格がすでに分かっている」というメリットは、実はかなり大きいものです。留守番が長い生活スタイルの方や、初めて猫を迎える方にとっては、子猫より予測しやすい選択肢になります。

一人暮らしで迎えることを検討している方は、留守番の現実と成猫という選択肢について、こちらもあわせてご覧ください。

→ 一人暮らしで猫は飼える?留守番の現実と失敗しない環境づくり

デメリット

  • 健康状態や過去の環境が分からない場合がある
  • トライアルや審査があることが多い
  • 慣れるまで時間がかかる場合がある
  • 譲渡条件は団体ごとに大きく異なる

保護猫カフェでの実体験

筆者は以前、保護猫カフェへ週1回ほど通っていた時期があります。

通い続けるうちに、猫ごとの性格や反応の違いが少しずつ分かるようになりました。「この子はどんな距離感が好きか」「どこを撫でられるのを好むか」といった細かな傾向まで見えてきます。短時間の訪問では分かりにくい部分も、繰り返し会うことで理解が深まる。これは保護猫カフェならではの良さだと感じています。

確認したいこと

  • 推定年齢と、保護されるまでの経緯
  • ワクチン接種、不妊去勢、猫白血病ウイルス・猫免疫不全ウイルス検査の状況
  • 子猫の場合、母猫ときょうだいと過ごした期間(分かる範囲で)
  • 他の猫や人への反応
  • トライアル期間の条件

7. 3つの迎え方の比較

方法強み確認が必要な点向いている人
ペットショップ実物を見て比較的すぐ迎えられる生年月日と繁殖者情報を書面で確認複数の猫種を見比べたい人
ブリーダー飼育環境と親猫を確認できる場合がある引き渡し週齢の方針と登録番号を確認猫種の特性を重視したい人
保護猫成猫が多く性格が分かっている健康状態と譲渡条件を確認相性重視・留守番が長めの人

どの列にも「週齢が早い/遅い」という項目を置いていません。それは業態ではなく、個別の事業者や団体によって決まるからです。


8. 迎えたあと、すぐに必要になること

マイクロチップの変更登録は30日以内

意外と知られていないのがこれです。2022年6月1日から、販売業者が扱う犬猫にはマイクロチップの装着と登録が義務づけられました。販売業者から犬猫を譲り受けた飼い主は、譲り受けた日から30日以内に、飼い主情報の変更登録を行う必要があります。

登録手数料は、オンライン申請で400円、郵送申請で1,400円です。登録に必要な証明書は、受け取ったらなくさないよう保管してください。なお、すでに飼っている犬猫への装着は努力義務です。

制度の全体像や、災害時に何が起きたかについてはこちらにまとめています。

→ 猫のマイクロチップ完全ガイド|義務化・費用・安全性を解説

迎えて最初の健康診断とワクチン

迎え先で健康チェックを受けていても、自分のかかりつけ医で一度診てもらう意味があります。今後の比較対象になる「その子の平常値」を残せるからです。

→ 猫の健康診断はいつから?年齢別の頻度・検査内容・費用の目安

ワクチンの種類と頻度は、迎えた直後にまず迷うところです。国際基準をもとにこちらで解説しています。

→ 猫のワクチンは毎年必要?WSAVA2024年版の頻度と副反応

先住猫がいる場合・2匹同時に迎える場合

2匹同時に迎えるなら、AAFPのガイドラインが参考になります。血縁のある個体同士は絆を保ちやすく、猫同士の緊張が少なく、親和的な行動が多いと報告されています。きょうだい猫やすでに仲の良いペアを選ぶのは、理にかなった選択です。

ただし多頭飼いには多頭飼いの難しさがあります。判断材料と環境づくりはこちらにまとめました。

→ 猫の多頭飼いの問題と対策|環境の整え方と2匹目を迎える判断

すでに先住猫がいる場合、対面の進め方には手順があります。

→ 先住猫と子猫の対面方法|手順・期間の目安と受け入れサイン

迎える前に、生活を点検する

AAFPのガイドラインが強く戒めていることがあります。「その場の勢いで決めることは避けるべき」という指摘です。

店頭で目が合った、SNSで見かけた。そうした出会いは素敵ですが、猫との暮らしは長く続きます。留守時間、猫にかけられる時間、家族の同意、住居の条件、そしてアレルギーの有無。迎える前に点検する時間を取ってください。

ご自身やご家族に猫アレルギーの可能性がある場合は、こちらを先にお読みください。

→ 猫アレルギーでも飼える?レベル4の筆者が続けている対策


9. よくある質問(FAQ)

Q1. 生後2か月の子猫を勧められました。早すぎますか?

生後2か月は約8週なので、日本の法律上は問題ありません。ただし研究で行動上の報告が少なかった群(14〜15週で離乳)よりは早い段階です。可能であれば、もう少し母猫のもとで過ごしてから引き渡してもらえないか相談してみる価値はあります。相談に応じてもらえるかどうか自体も、判断材料になります。

Q2. すでに早い週齢で迎えてしまいました。手遅れですか?

そんなことはありません。あの研究が示したのは集団としての傾向であり、因果関係でもなければ、個々の猫の運命でもありません。著者自身が「早期離乳が原因だと結論することはできない」と述べています。また社会化期を過ぎても学習は続きます。生後3〜8か月の子猫を対象にした教室では、86%が6週間のプログラムを修了したという報告があります。今からできることに目を向けてください。

Q3. ペットショップとブリーダー、安いのはどちらですか?

信頼できる統計を確認できなかったため、この記事では価格の比較を行いません。「ブリーダーは中間マージンがないので安い」という説明はよく見かけますが、その根拠となる調査データは見つかりませんでした。価格は猫種・血統・地域・時期によって大きく変わります。実際に複数の候補を見て比べるほかありません。

Q4. 見学を断られました。やめたほうがいいですか?

販売業者には、事業所で猫の現状を直接見せる「現物確認」と、書面を用いた対面説明が義務づけられています。感染症対策などで飼育スペースの奥まで入れないことはあり得ますが、猫本体を見せてもらえない、書面での説明がないというのは、法律上の義務が果たされていない可能性があります。不審に感じたら、都道府県等の動物愛護管理部局に相談できます。

Q5. 血統書があれば健康ということですか?

いいえ。血統書は血統の記録であって、健康を証明する書類ではありません。健康に関わる情報は別にあります。親および同腹子の遺伝性疾患の発生状況(説明義務項目)、両親の遺伝子検査の結果、健康診断の記録です。血統書と混同しないようにしてください。

Q6. 保護猫は一人暮らしでも譲ってもらえますか?

譲渡条件は団体ごとに異なり、一律の基準はありません。年齢、同居家族の有無、留守時間、住居の条件などを設けている団体もあります。まずは気になる団体の募集要項を確認し、条件が合わない場合は他の団体や自治体の譲渡制度も見てみてください。断られたことが「猫を飼えない」を意味するわけではありません。


10. まとめ

この記事でいちばん大事なことを、もう一度書きます。

ペットショップかブリーダーかという業態の選択は、思っているほど結果を左右しません。環境省の一斉調査では、ブリーダー約1,400事業所の約5割で法令違反が確認されました。業態は品質を保証しないのです。

覚えておいていただきたい判断材料は、次の3つです。

  • 週齢:生年月日と、母猫ときょうだいと過ごした期間。法定下限は8週、研究で行動上の報告が少なかったのは14〜15週で離乳した群
  • 18項目:繁殖者名と登録番号、親きょうだいの遺伝性疾患の発生状況を、書面で説明してもらえるか
  • 現物確認:事業所で猫を直接見せてもらえるか

この3つを尋ねて、はぐらかされる、書面が出てこない、見学を断られる。そう感じたら、いったん立ち止まってください。判断に迷ったときは、都道府県等の動物愛護管理部局に相談するという選択肢があります。

そして迎えたあとは、マイクロチップの変更登録(30日以内)と、かかりつけ医での最初の健康診断を忘れずに。

迎える前に揃えておきたいものは、こちらにまとめています。

→ 猫を飼う前の準備リスト|必需品と優先順位・失敗しない選び方


出典・参考文献

  • Ahola MK, Vapalahti K, Lohi H. Early weaning increases aggression and stereotypic behaviour in cats. Scientific Reports. 2017;7:10412. doi:10.1038/s41598-017-11173-5
    この記事では、5,726頭・40猫種のデータにおける離乳週齢と攻撃性・常同行動・恐怖行動の関連(8週未満群と12〜13週群の比較、14〜15週群と早期離乳群および12〜13週群の比較を含む)、および著者による「本研究は実験ではなく横断研究であり、この結果から早期離乳が行動変化の原因であると結論することはできない」という限界の記述の根拠として使用
  • University of Helsinki. Delayed weaning reduces behavioural problems in cats. 2017年9月4日
    この記事では、約6,000頭のフィンランドの飼い主アンケート調査で軽度の行動上の問題80%以上・重度25%という数値、および推奨離乳週齢を2週間引き上げるという研究者の提案の根拠として使用
  • Salonen M, Vapalahti K, Tiira K, Mäki-Tanila A, Lohi H. Breed differences of heritable behaviour traits in cats. Scientific Reports. 2019;9:7949. doi:10.1038/s41598-019-44324-x
    この記事では、19の猫種・猫種グループのあいだで10の行動特性に差が見られたこと、3猫種を対象とした7特性の遺伝率が0.40〜0.53と推定されたこと、および猫種内にも実質的な遺伝的ばらつきが存在することの根拠として使用
  • Rodan I, Ramos D, Carney H, DePorter T, Horwitz DF, Mills D, Vitale K. 2024 AAFP intercat tension guidelines: recognition, prevention and management. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2024;26(7):1098612X241263465. doi:10.1177/1098612X241263465(ページ範囲は確認できませんでした)
    この記事では、社会化期は生後2〜9週でありこの時期が終わっても学習は止まらないこと、生後3〜8か月の子猫50頭が参加した教室で86%が週1回・6週間のプログラムを修了したこと、血縁個体は絆を保ちやすいこと、衝動的な決定を避けるべきこと、の根拠として使用
  • 環境省「ペットオークション・ブリーダーへの一斉調査結果について」報道発表資料、2024年2月15日
    この記事では、ブリーダー約1,400事業所のうち約700事業所(約5割)で法令違反確認、帳簿の不備496件、繁殖台帳の不備314件、出生証明書の不備128件、8週齢規制違反50件、オークション会場での生年月日の曜日の偏りの根拠として使用
  • 環境省「STOP!生後56日までの犬猫販売!」
    この記事では、8週齢規制の位置づけ、生年月日の改ざんに関する調査結果、2024年9月の業界団体への法令遵守要請、購入時の確認と相談窓口に関する呼びかけの根拠として使用
  • 環境省「対面説明が必要な18項目」
    この記事では、販売時に対面・書面で説明が必要な18項目、特に⑫生年月日・⑭繁殖を行った者の氏名又は名称及び登録番号又は所在地・⑯病歴およびワクチンの接種状況等・⑰親および同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況(およびその除外規定)の根拠として使用
  • 環境省「第一種動物取扱業者の規制」
    この記事では、現物確認と対面説明の義務、犬猫等販売業者に課される追加義務の根拠として使用
  • 埼玉県「生後56日齢以下の犬猫の販売等は禁止されています」
    この記事では、56日規制の対象が犬猫等販売業者であること、および一般の飼い主による個人間の譲渡は動物愛護管理法の規制対象外であることの根拠として使用
  • 環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」令和6年度
    この記事では、猫の引取り数22,010頭、譲渡数16,854頭、返還数225頭、殺処分数4,866頭の根拠として使用
  • 横浜市「マイクロチップの装着および情報登録について」/埼玉県「犬猫のマイクロチップ装着等の義務化について」
    この記事では、2022年6月1日からの義務化、譲り受けた日から30日以内の変更登録、手数料(オンライン400円・郵送1,400円)、既に飼っている犬猫は努力義務であることの根拠として使用
  • 公益社団法人 埼玉県獣医師会「猫の遺伝性疾患について」
    この記事では、遺伝子検査が利用できる5つの遺伝性疾患と、ピルビン酸キナーゼ欠損症・肥大型心筋症の好発猫種の根拠として使用

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。猫の健康について気になる点がある場合は、かかりつけの動物病院にご相談ください。また、法制度や手数料は改正・変更される可能性があります。最新の情報は環境省および各自治体のウェブサイトでご確認ください。

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