猫の慢性腎臓病とは?初期症状・検査・新薬AIMまで解説

猫の健康

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愛猫の健康診断で「腎臓の数値が少し高いですね」と言われて、不安な気持ちでこの記事にたどり着いた方もいるかもしれません。

猫の慢性腎臓病(CKD)は、高齢猫にとても多い病気です。国際的なガイドラインでは、10歳以上の猫の30〜40%以上が罹患すると報告されています。残念ながら一度失われた腎機能は元に戻りませんが、早く見つけて適切に管理できれば、進行を遅らせて穏やかな時間を長く保てる可能性があります。

この記事では、国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)のガイドラインや獣医学論文をもとに、症状・検査・ステージ・治療・予防までを整理しました。話題の新薬「AIM(FeliAIM)」の最新状況も、期待と現実の両面から解説します。数字は出典を明記していますので、かかりつけの獣医師と話すときの土台としてお使いください。

  1. この記事でわかること
  2. 猫の慢性腎臓病(CKD)とは?どんな病気なのか
    1. どのくらいの猫がかかるの?
  3. 猫の慢性腎臓病の原因は?多くは特定できない
  4. 猫の腎臓病の初期症状|気づきにくいサインとは
    1. 初期のサインは「ほんの少しの違和感」
    2. 進行すると現れる症状
  5. 猫の腎臓病の検査|クレアチニンだけではわからない理由
    1. 前提:数値が動くのは「4分の3が失われてから」
    2. 血液検査(クレアチニン・BUN・SDMA)
    3. 尿検査(尿比重・尿タンパク)
    4. 血圧測定
    5. 画像検査・電解質
  6. 猫の腎臓病ステージ分類(IRIS)とは
    1. 【重要】数値がステージ2の範囲=腎臓病、ではありません
  7. 猫の腎臓病の治療|進行を遅らせるためにできること
    1. 療法食(最も証拠が強い治療)
    2. 皮下点滴(皮下輸液)
    3. 薬物療法
    4. 合併症の管理
  8. 猫の腎臓病の余命は?ステージ別の生存期間
  9. 新薬「FeliAIM」の現状|2026年8月時点
    1. なぜ猫は腎臓病になりやすいのか
    2. 臨床研究で報告された結果
    3. 【重要】フード・サプリと注射薬は別のものです
    4. 今、飼い主にできること
  10. 健康診断が最も重要な理由|年齢別の推奨頻度
    1. 猫の年齢別・健康診断の推奨頻度
    2. 7歳を過ぎたら、記録を残しておく
  11. 体験談|クレアチニンが高めでも「問題なし」と言われたケース
    1. クレアチニンは筋肉量の影響を受ける
    2. 実際に確認した項目
  12. 日常でできる予防と管理
    1. 水分をとりやすい環境をつくる
    2. 変化に気づける仕組みをつくる
    3. やってはいけないこと
  13. まとめ
  14. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. クレアチニンが基準値より少し高いと言われました。腎臓病でしょうか?
    2. Q2. SDMAだけが高いと言われました。どう考えればいいですか?
    3. Q3. 腎臓病と診断されたら、すぐに療法食に切り替えるべきですか?
    4. Q4. ステージ4と言われました。もう時間がないということでしょうか?
    5. Q5. 健康診断はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
    6. Q6. AIMの新薬はいつから使えますか?
    7. Q7. 市販の「AIM」フードやサプリを与えれば、腎臓病を治療できますか?
  15. 出典・参考資料
    1. ガイドライン
    2. 論文
    3. AIM関連
    4. その他の参考資料

この記事でわかること

  • 猫の慢性腎臓病(CKD)の原因と、気づきにくい初期症状
  • 診断に使われる検査(クレアチニン・SDMA・尿比重・血圧)の意味と役割
  • IRISステージ分類と、ステージごとに報告されている生存期間
  • 療法食・皮下点滴・薬物療法など、進行を遅らせるための選択肢
  • 「クレアチニンが高い=腎臓病」とは限らない理由と、その確かめ方
  • 注目の新薬「AIM(FeliAIM)」の仕組みと、2026年8月時点の承認状況
  • 年齢別の健康診断の推奨頻度と、日常でできる予防・管理

猫の慢性腎臓病(CKD)とは?どんな病気なのか

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease=CKD)とは、数か月から数年かけて腎臓の働きがゆっくり失われていく病気です。

腎臓には、次のような大切な役割があります。

  • 体にたまった老廃物を尿として外に出す
  • 水分やナトリウム・カリウムなどのバランスを保つ
  • 血圧を調整する
  • 赤血球をつくるためのホルモンを分泌する

これらの働きが少しずつ低下することで、体のあちこちに影響が出てきます。貧血が起こるのも、腎臓が赤血球をつくるホルモンを出しているためです。

どのくらいの猫がかかるの?

年齢が上がるほど、罹患する猫は増えていきます。報告されている数字にはばらつきがありますが、目安として次のように整理できます。

対象報告されている割合出典
猫全体1〜3%(調査によってはさらに高い推定も)Brown et al. 2016
10歳以上30〜40%以上ISFMコンセンサスガイドライン(Sparkes et al. 2016)
高齢猫(定義は研究により幅あり)35〜81%Brown et al. 2016
15〜20歳80.9%Marino et al. 2014
※調査対象の集団や診断基準が異なるため、報告値には大きな幅があります。

数字に幅があるのは、どんな猫を対象にしたか、どの基準で「CKDあり」と判断したかが研究ごとに違うためです。

その幅の大きさが分かる例があります。Marinoらの研究(無作為に選ばれた猫86頭)では、生後6か月〜5歳の若い猫でも37.5%がCKDに該当すると判定されました。5〜10歳で40.9%、10〜15歳で42.1%、そして15〜20歳で80.9%です。若い群の数字が高いのは、この研究が広い診断基準を採用しているためと考えられます。

つまり「何%か」は、研究の設計しだいで大きく動きます。数字を単独で受け取るのではなく、シニア期の猫にとって身近な病気であるという方向性を押さえておくのが現実的です。

猫の慢性腎臓病の原因は?多くは特定できない

猫のCKDでは、はっきりした原因が特定できないケースが多いことが知られています。獣医病理学の総説でも、さまざまな腎疾患が関与しうるものの、多くの猫では特発性(原因不明)であるとされています。

関連が指摘されている要因には、次のようなものがあります。

  • 加齢:最も大きな要因
  • 慢性の尿細管間質性腎炎:猫のCKDに典型的な組織変化(尿細管の萎縮や線維化)
  • 遺伝的要因:ペルシャやシャムなど、一部の品種で罹患しやすい傾向の報告あり
  • 高血圧
  • 尿路結石・尿路閉塞の既往
  • 感染症や中毒、腎臓への血流低下など

なお、人や犬では「糸球体」の病気がCKDの主因になることが多いのですが、猫では糸球体疾患はまれで、尿細管間質の障害が中心という違いがあります。これは猫のCKDを理解するうえで重要な特徴です。

猫の腎臓病の初期症状|気づきにくいサインとは

CKDが「気づきにくい病気」と言われる最大の理由は、症状が出るまでに時間がかかることです。

獣医学の解説によれば、血液検査で明らかな異常(高窒素血症)が出るのは、機能するネフロン(腎臓の最小単位)の約75%が失われた後とされています。つまり、数値に表れる頃には病気はかなり進んでいるということです。

初期のサインは「ほんの少しの違和感」

ここが、この病気のいちばん難しいところです。初期のサインは、はっきりした「症状」の形では現れません。多くの場合、それは「なんとなく、いつもと違う気がする」という程度の、ほんの少しの違和感として現れます。

そしてその違和感は、たいてい次のように説明がついてしまいます。

  • 「最近よく水を飲むな」→ 暑くなってきたから
  • 「少し痩せたかも」→ 夏バテかな
  • 「毛づやが落ちた気がする」→ もう歳だし
  • 「なんとなく元気がない」→ 寝ているだけ
  • 「ごはんを残すようになった」→ フードに飽きたのかも

どれも、もっともらしい説明です。だからこそ見逃されます。しかも猫は体調の悪さを隠す動物で、AAFPのシニアケアガイドラインでも、この「不調を隠す性質」が高齢猫の定期的な身体検査を重要にしていると指摘されています。

初期に見られやすい変化を挙げると、次のとおりです。

  • 多飲多尿:水を飲む量が増え、薄い尿がたくさん出る(比較的気づきやすいサイン)
  • 体重が少しずつ減る:抱き上げたときの「あれ、軽い?」という感覚
  • 食欲がなんとなく落ちる:完全に食べないのではなく、少し残すようになる
  • 毛づやが悪くなる、毛づくろいが減る
  • 寝ている場所や時間が変わる:高いところに登らなくなった、など

猫砂の消費量が増えた、水入れの減りが早くなった、といった生活の中の小さな変化が最初のヒントになることがよくあります。

「気のせいかもしれない」と思ったことを、そのまま獣医師に伝えてください。「はっきり症状と言えるほどではないから」と遠慮する必要はありません。飼い主さんが感じた小さな違和感こそが、数値に表れる前の唯一の手がかりであることも少なくないからです。気づいたことはメモしておくと、診察時に役立ちます。

ただし、多飲多尿は糖尿病や甲状腺機能亢進症など他の病気でも起こります。「腎臓病かもしれない」と決めつけず、まずは受診して調べてもらうのが確実です。

進行すると現れる症状

  • 食欲不振・拒食
  • 嘔吐、吐き気
  • 脱水
  • 口臭(アンモニアのようなにおい)、口内炎
  • 貧血(歯ぐきや耳の内側が白っぽくなる)
  • 元気消失、動きたがらない
  • 便秘

これらが見られる場合は、できるだけ早く受診してください。

猫の腎臓病の検査|クレアチニンだけではわからない理由

CKDの診断は、ひとつの数値ではなく複数の検査を組み合わせて行われます。それぞれの検査が何を見ているのかを知っておくと、結果の説明が理解しやすくなります。

前提:数値が動くのは「4分の3が失われてから」

個々の検査の話に入る前に、押さえておきたい前提があります。腎臓には「余力」があり、かなり失われるまで血液検査の数値は動かないということです。

この余力は腎予備能(renal reserve)と呼ばれます。通常の腎機能を保つのに、すべてのネフロン(腎臓の働く単位)が必要なわけではありません。失われた割合ごとに、体には次のような変化が起きます。

失われたネフロン体に起きること
〜50%外見上まったく変化なし
50〜75%見た目は正常だが、感染や脱水などのストレスに対応する力が落ちる
約3分の2(67%)〜尿を濃縮する力が落ちる。多飲多尿が出はじめる
75%〜ここではじめて血液検査の数値が動く

腎性の高窒素血症(BUN・クレアチニンの上昇)が起きるのは、機能するネフロンのおよそ75%が失われてからです。CKDそのものによる症状が現れるのも、腎機能の75%以上を失ってから(ステージ3〜4)とされています。

⚠️ つまり、健康診断でクレアチニンが「正常」と出ていても、腎臓が無傷という意味ではありません。「異常なし」は「まだ4分の3は失われていない」という意味に近いのです。

この記事の見出しが「クレアチニンだけではわからない理由」となっているのは、まさにここが理由です。だからこそ、より早く動く指標や、尿検査・血圧といった別の角度からの情報が必要になります。

血液検査(クレアチニン・BUN・SDMA)

クレアチニン(Cre)は筋肉の代謝でできる老廃物で、腎臓からのみ排泄されるため腎機能の指標になります。ただし、筋肉量や脱水など腎臓以外の要因でも変動する点に注意が必要です。

BUN(尿素窒素)は、食事内容や消化管出血などの影響も受けるため、単独では判断できません。

SDMA(対称性ジメチルアルギニン)は、比較的新しい腎機能マーカーです。特徴は次の2点です。

  • 筋肉量の影響を受けにくい(痩せたシニア猫でも評価しやすい)
  • クレアチニンより早く上昇すると報告されている

CKDを発症した猫を追跡した縦断研究では、21頭中17頭で、クレアチニンが基準値を超えるより平均17か月早くSDMAが上昇していました(範囲1.5〜48か月)。

ただし、この点についてIRISは重要な補足をしています。この研究でクレアチニンの基準を1.6 mg/dL超に設定していれば、両者はほぼ同時期に異常を検出できていたという指摘です。「17か月早い」という数字は、比較に用いたクレアチニンの基準値によって変わるということです。

またSDMAも脱水などの影響を受けることがあり、単独で使う検査ではないとされています。他に腎疾患を示す所見がないのにSDMAだけが高い場合は、再検査が勧められます。

尿検査(尿比重・尿タンパク)

尿比重(USG)は尿の濃さを示す値です。腎臓が尿を濃縮する力が落ちると低下します。血液検査より早く変化が出ることがあり、早期発見の手がかりになります。

尿タンパク(UPC=尿タンパク/クレアチニン比)は、腎臓のダメージや進行リスクの評価に使われます。IRISでは、タンパク尿の程度によってステージをさらに細分類(サブステージング)します。猫では、UPCが0.2未満で「非タンパク尿」、0.2〜0.4で「境界」、0.4を超えると「タンパク尿」に分類されます。

血圧測定

CKDの猫では高血圧を合併することがあります。高血圧を放置すると網膜剥離による失明などのリスクがあるため、血圧測定も重要な検査のひとつです。IRISではタンパク尿と同様、血圧によってもサブステージングを行います。

画像検査・電解質

超音波検査(エコー)やレントゲンでは、腎臓の大きさや形の変化、結石、腫瘍などを確認します。あわせてリン、カリウムなどの電解質も測定されます。高リン血症は進行や予後に関わるため、管理の重要なポイントになります。

検査項目や費用の目安については、こちらで詳しくまとめています。
参考:猫の健康診断はいつから受ける?年齢別の頻度・検査内容・費用の目安【体験談あり】

猫の腎臓病ステージ分類(IRIS)とは

IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)は、CKDと診断された猫を血中クレアチニン濃度とSDMA濃度をもとに4段階に分類しています。これは診断そのものではなく、診断後に治療方針とモニタリングを決めるための病期分類です。

ステージングは、脱水がなく状態が安定している時に、少なくとも2回測定して判断することとされています。1回の数値だけでは決められません。

ステージ血中クレアチニンの目安SDMAの目安状態
ステージ11.6 mg/dL未満18 µg/dL未満高窒素血症なし。無症状のことが多く、尿比重低下や画像所見などで疑われる
ステージ21.6〜2.8 mg/dL18〜25 µg/dL軽度の高窒素血症。症状は軽いか、まだ見られないことが多い
ステージ32.9〜5.0 mg/dL26〜38 µg/dL中等度。体重減少や多飲多尿などの症状が出てくることが多い
ステージ45.0 mg/dL超38 µg/dL超重度。全身症状が出やすく、集中的な管理が必要
※IRISステージング(2026年改訂版)に基づく。「高窒素血症」とは、老廃物である尿素窒素やクレアチニンが血液中に増えた状態のことです。さらにタンパク尿と血圧でサブステージ分類されます。

クレアチニンとSDMAが食い違う場合は、進行している側に合わせて扱うことが明示されています。猫については、クレアチニンが1.6〜2.8 mg/dL(ステージ2の範囲)でも、SDMAが持続的に25 µg/dLを超える場合はステージ3として扱い治療するという指針です。SDMAは筋肉量の減少による影響を受けにくいため、痩せた猫では腎機能をより正確に反映すると考えられています。

なお、ステージ2の猫ではクレアチニンが多くの検査機関の基準値内に収まっていることがあります。IRISは、クレアチニンはスクリーニング検査としては感度が低いため、基準値の上限に近い猫はすでに排泄機能の低下が始まっていることが多い、と注記しています。

【重要】数値がステージ2の範囲=腎臓病、ではありません

ここは誤解が非常に多いところなので、はっきりお伝えします。

IRISのステージ分類は、CKDの診断が確定した猫、またはCKDが強く疑われる猫に対してのみ使うものです。IRIS自身も「ステージングはCKDの診断後に行う」と明記しています。

獣医腎臓病の専門医も、この点について明確に指摘しています。クレアチニンの検査基準値の上限は、必ずステージ2の範囲のどこかに入ります。そのため、基準値内のクレアチニン値をもって「この猫はステージ2だ」と言うのは、この分類システムの誤った解釈であるとされています。

つまり、健康診断でクレアチニンがステージ2の数値範囲に入っていたとしても、それだけでは腎臓病とは言えません。診断は、病歴・症状・複数回の検査結果をもとに獣医師が総合的に下すものです。

猫の腎臓病の治療|進行を遅らせるためにできること

現在の獣医療では、失われた腎機能を回復させることはできません。治療の目的は進行を遅らせることと症状をやわらげて生活の質(QOL)を保つことです。

以下は一般的に行われている選択肢の紹介です。実際に何をどう組み合わせるかは、猫の状態によって大きく異なります。必ず獣医師の診断と指示にしたがってください。

療法食(最も証拠が強い治療)

ISFMのコンセンサスガイドラインでは、食事管理は良質なエビデンスに支えられた治療の柱と位置づけられています。リンとタンパク質を制限した腎臓用の療法食が用いられます。

報告されている効果の例です。

  • Elliott et al.(2000):安定した腎不全の猫50頭の前向き研究。療法食を受け入れた29頭の生存期間中央値は633日、通常食を続けた21頭は264日。その差は369日でした
  • Plantinga et al.(2005):後ろ向き研究。療法食群の生存期間中央値は16か月、通常食群は7か月。その差は約9か月です

複数の研究が、療法食が生存期間の延長と尿毒症クリーゼの減少に関連することを示しています。ただし、これらの研究は主にステージ2以降の高窒素血症がある猫を対象としたものです。早期の猫にどこまで当てはまるかは、まだ議論があります。

療法食は種類が多く、ドライ・ウェット・パウチなど形状もさまざまです。猫が食べてくれなければ効果はありません。食いつきが悪い場合は我慢させず、獣医師に相談して別の製品を試すのが現実的です。

皮下点滴(皮下輸液)

脱水の改善を目的に行われます。動物病院で実施するほか、獣医師の指導のもとで自宅ケアとして行う場合もあります。実施の可否・頻度・量はすべて獣医師の判断が必要です。自己判断で始めたり量を調整したりしないでください。

薬物療法

  • リン吸着剤:食事だけでリンを下げきれない場合に使用
  • 降圧薬:高血圧の管理。猫ではアムロジピンなどのカルシウム拮抗薬が用いられることが多い
  • 制吐薬・食欲増進薬:吐き気や食欲不振の緩和
  • カリウム補充:低カリウム血症がある場合

なお、人や犬で有効とされる治療が猫では同じように働かないこともあります。ISFMのガイドラインは、ベナゼプリルなどのACE阻害薬の単剤療法は、高血圧の猫の多くで有効ではないとしています。猫の高血圧には、カルシウム拮抗薬のアムロジピンが有効な単剤療法とされ、第一選択になります。「人間の腎臓病に良いとされるもの」を猫にそのまま当てはめないでください。

合併症の管理

高血圧、貧血、高リン血症、低カリウム血症など、CKDに伴う問題への対応も並行して行われます。

治療は長期にわたるため、費用面の見通しも大切です。
参考:【2026年最新】猫のペット保険8社を比較|年齢別保険料と失敗しない選び方

猫の腎臓病の余命は?ステージ別の生存期間

気になる方が多いテーマだと思います。ここでは実際の研究データをそのままお伝えします。

Boyd et al.(2008)は、自然発生のCKDと診断された猫211頭の生存期間を調査しました。診断時のIRISステージ別の生存期間中央値は次のとおりです。

診断時のステージ生存期間中央値報告された範囲
ステージ2b※1,151日(約3.2年)2〜3,107日
ステージ3778日(約2.1年)22〜2,100日
ステージ4103日(約3.4か月)1〜1,920日
出典:Boyd LM et al. J Vet Intern Med. 2008;22(5):1111-1117
※この研究では、ステージ2のうちクレアチニンが高めの範囲(203〜249 µmol/L)を「2b」として分析しています。ステージ2全体の数値ではない点にご注意ください。また組入基準がクレアチニン2.3 mg/dL以上のため、ステージ1と、ステージ2の低い範囲の猫は含まれていません。

この表で注目していただきたいのは、「範囲」の幅の広さです。ステージ4でも1,920日(5年以上)生きた猫がいます。中央値はあくまで集団全体の真ん中の値であり、目の前の猫の余命を予測するものではありません。

もうひとつ知っておきたいのは、集団によって数字が大きく変わることです。英国の一次診療施設を対象にした大規模調査(Conroy et al., 2019)では、診断後の生存期間中央値は388日と報告されています。二次診療施設のデータであるBoydらの全体中央値771日とは、2倍近い開きがあります。

また、Boydらのデータは2000〜2002年のもので、その後の診断技術や治療の進歩は反映されていません。数字に一喜一憂しすぎず、「早い段階で見つかった猫のほうが長い経過をたどる傾向がある」という方向性を読み取っていただければと思います。

新薬「FeliAIM」の現状|2026年8月時点

長らく「治らない病気」とされてきた猫の腎臓病ですが、いま新しい選択肢が生まれようとしています。それが「AIM」です。

期待が先行しやすい話題なので、結論から整理します。

2026年8月現在、注射薬「FeliAIM(フェリエイム)」は承認申請中で、まだ使用できません。2026年4月24日に農林水産省へ製造販売承認申請が行われ、審査中の段階です。

なぜ猫は腎臓病になりやすいのか

AIMは、体内で出た「ゴミ」を片付ける目印をつけるタンパク質です。人やマウスでは、腎臓にゴミが溜まるとAIMが働きに出て掃除が始まります。

ところが猫のAIMは、待機状態のまま働きに出られません。だから腎臓のゴミが片付かず、炎症が続く。これが「猫はなぜこんなに腎臓病が多いのか」という長年の疑問への答えとして、2016年に報告されました。

FeliAIMは、その働けるAIMを外から補う薬にあたります。

臨床研究で報告された結果

2026年、獣医学専門誌『The Veterinary Journal』に臨床研究の論文が掲載されました。比較的進行した段階の猫26頭を、360日間観察した研究です。組換えAIMを投与した11頭では累積生存率が80〜83%、投与しなかった15頭では20%と報告されています。

ただしこの論文は、著者ら自身が「探索的・非確証的な研究」と明記しています。少数例で効果の兆候をつかむ段階の研究であり、確証的な試験ではありません。投与群は6頭と5頭で、信頼区間も広く取られています。有望な結果ではあるものの、まだ評価が定まる途中と理解しておくのが適切です。

【重要】フード・サプリと注射薬は別のものです

ここは特に注意してください。「AIM」の名前がついたキャットフードやサプリメントが市販されていますが、これらは開発中の注射薬とはまったく別のものです。

理由はシンプルで、AIMはタンパク質なので、口から摂取すると胃で消化・分解されてしまいます。飲んだAIMがそのまま腎臓に届いて働くことはありません。

市販のフードは、猫自身のAIMの働きをサポートすることをコンセプトとした食品です。フードやサプリを与えているからといって、療法食や現在の治療を中断しないでください。

今、飼い主にできること

AIM製剤についても「壊れた腎臓を再生して完治させる薬ではない」と説明されています。残っている部分の働きを取り戻す薬であり、腎臓の状態が良い段階ほど効果を発揮しやすいと考えられています。

ここで、前述の「腎予備能」の話を思い出してください。余力が多く残っているうちに見つけられた猫ほど、恩恵は大きいはずです。薬を待つことと、今きちんと検査を受けることは、まったく矛盾しません。

  • 定期的な血液・尿検査で、今の状態を正確に把握しておく
  • 療法食や処方された治療を、自己判断で中断しない
  • 飲水しやすい環境を整える
  • 体重と排泄のチェックを続ける

新薬を待つ間に病気が進んでしまっては本末転倒です。「待つ」ことと「今の治療を続ける」ことは、両立させてください。

📖 AIMについてもっと詳しく
臨床研究の詳細な内訳、承認申請のための治験との違い、投与間隔や安全性についての開発者の説明、ステージ4の猫に投与した実データまで、専用記事にまとめています。
→ 猫の腎臓病の新薬FeliAIM|いつ使える?生存率80%の中身


健康診断が最も重要な理由|年齢別の推奨頻度

ここまで読んでいただくとわかるとおり、CKDは症状が出た時点ですでに進行していることが多い病気です。だからこそ、症状が出る前に見つける健康診断が決定的に重要になります。

猫の年齢別・健康診断の推奨頻度

2021年のAAFP(米国猫獣医師会)シニアケアガイドラインおよびAAHA/AAFP猫ライフステージガイドラインでは、次のように推奨されています。

年齢推奨される受診頻度
子猫〜成猫(〜6歳頃)最低でも年1回
7〜10歳(メイチュアアダルト)年1回以上。ベースラインとなる検査データを取っておく
10歳超(シニア)少なくとも年2回(6か月ごと)
慢性疾患がある猫・より高齢の猫状態に応じて、さらに頻回に
出典:2021 AAFP Feline Senior Care Guidelines/2021 AAHA/AAFP Feline Life Stage Guidelines。ライフステージガイドラインでは「シニア」を10歳超と定義し、少なくとも6か月ごとの受診を推奨しています。

ガイドラインでは印象的な例えも示されています。原文はこうです。

The life span of a cat is five times shorter than the life span of a human, so an equivalent frequency in a healthy adult cat would be every 10-11 weeks!

猫の寿命は人の約5分の1なので、人が年1回健診を受けるのと同じ間隔にするなら、健康な成猫でも10〜11週ごとに相当する——という指摘です。ガイドライン自身も現実的ではないかもしれないと認めたうえで、「年1回では十分とは言えない」ことを伝えるために示しています。

7歳を過ぎたら、記録を残しておく

健康なうちの検査結果には、「その子の平常値」を知るという価値があります。もともとクレアチニンがやや高めの猫なのか、それとも上がってきたのかは、過去のデータがあってはじめて判断できます。

検査結果は捨てずに保管し、できれば数値を時系列でメモしておくことをおすすめします。体重や排泄の変化を自宅で記録しておくと、平常値の把握にさらに役立ちます。
参考:Catlog Boardとは?猫の健康管理を「見える化」するスマートデバイス徹底解説

体験談|クレアチニンが高めでも「問題なし」と言われたケース

我が家の先住猫は、クレアチニン値だけを見るとIRISのステージ2に相当する数値です。数字だけを見れば、不安になる結果です。

ただしこの子は、とてもムキムキで筋肉質な体格をしています。そして血液検査の他の項目、超音波検査、尿検査の結果を含めて総合的に評価した結果、獣医師からは「問題ない」という診断を受けています。

同じように「数値が高い」と言われて不安になっている方のために、何をどう確認したのかを共有します。

クレアチニンは筋肉量の影響を受ける

前述のとおり、クレアチニンは筋肉の代謝によってつくられる老廃物です。つまり、筋肉量が多い猫ほど、腎機能が正常でもクレアチニン値は高めに出やすくなります。

これは獣医学的にもよく知られた性質で、SDMAが「筋肉量の影響を受けにくい」という点を長所として評価されているのは、まさにこの裏返しです。痩せたシニア猫では逆に、クレアチニンが実際の腎機能より低めに出て問題を隠してしまうことがあります。

クレアチニンが変動する要因を整理すると、次のとおりです。

  • 筋肉量が多い(がっしりした体格の猫は高めに出やすい)
  • 筋肉量が少ない(痩せた高齢猫では低めに出て、腎機能低下を見逃す可能性)
  • 脱水(採血前の水分状態)
  • 個体差(もともとの平常値が高めの猫)
  • 採血のタイミングや食事の影響

実際に確認した項目

  • SDMA:基準値内(筋肉量の影響を受けにくいため、この子の評価では特に重要)
  • 尿検査(尿比重):しっかり濃縮されており正常
  • 超音波検査(エコー):腎臓の形や大きさに異常なし
  • その他の血液検査項目:異常なし
  • 食欲・体重:変化なし
  • 飲水量:増加なし

これらを総合して、「現時点で腎臓病を示す所見はそろっていない」という判断になりました。

先ほどのステージ分類の項でお伝えしたとおり、クレアチニンがステージ2の数値範囲に入っていることと、CKDと診断されることは同じではありません。我が家の先住猫は、まさにその典型例だと言えます。

ただし、「問題なし=もう心配しなくていい」ではありません。クレアチニンが高めであることは変わらないので、我が家では定期的な再検査を続けています。1回の結果で安心も心配もしすぎず、経過を追うことが大切だと考えています。

※これはあくまで我が家の一例です。同じ検査結果でも猫の年齢・体格・既往歴によって解釈は変わります。ご自身の猫の数値については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

日常でできる予防と管理

CKDを確実に防ぐ方法は、残念ながら見つかっていません。ただし、腎臓に負担をかけにくい環境を整えることはできます。

水分をとりやすい環境をつくる

猫はもともと水をあまり飲まない動物です。飲水量を増やす工夫として、次のような方法があります。

  • 水入れを複数の場所に置く(トイレや食器から離れた場所にも)
  • 器の素材や形を変えてみる(陶器・ガラス・浅めの器など)
  • ウェットフードを取り入れる
  • 循環式給水器を試す(好みは猫によって分かれます)
  • こまめに水を替える

循環式給水器は、流れる水を好む猫に向くことがあります。我が家で実際に使っているのは、ポンプレスで動作音が静かなタイプです。ただし正直に書いておくと、給水器を使えば飲水量が増えると示した明確なデータは確認できていません。好みも猫によってはっきり分かれるので、興味があれば試してみる、くらいの気持ちがちょうどよいと思います。

変化に気づける仕組みをつくる

  • 月1回の体重測定:体重減少は早期のサインになりやすい
  • 飲水量・尿量の把握:猫砂の減り方や固まりの大きさでも変化に気づけます
  • 食事量の記録

毎日でなくて構いません。「いつもと違う」に気づける状態をつくっておくことが目的です。

とはいえ、体重や排泄の変化を毎回手作業で記録するのは大変です。我が家では、トイレの下に敷くだけで排尿・排便の回数や体重の推移が自動で記録できる「Catlog Board」を使っています。数値の変化を後から振り返れるので、平常値との違いに気づく助けになっています。

※商品の価格・仕様・取り扱い状況は変わることがあります。購入前に最新の情報をご確認ください。

やってはいけないこと

  • 自己判断でサプリメントや人間用の薬を与える
  • 診断前に自己判断で療法食に切り替える(タンパク制限が不要な猫には不利益になりえます)
  • ユリ科植物、人間用の解熱鎮痛薬など、腎毒性のあるものを猫の届く場所に置く

まとめ

猫の慢性腎臓病について、要点を整理します。

  • 10歳以上の猫の30〜40%以上が罹患すると報告されている、シニア猫に多い病気
  • 血液検査に異常が出るのは腎機能の約75%が失われた後で、初期は気づきにくい
  • 診断はクレアチニン・SDMA・尿比重・血圧などを組み合わせて行う
  • クレアチニン単独では判断できず、複数回の測定が必要
  • 完治はしないが、療法食を中心とした管理で進行を遅らせられる可能性がある
  • 診断時ステージ2b(ステージ2の中でも数値が高めの群)の猫の生存期間中央値は1,151日と報告されている。ただし集団によって数字は大きく変わる
  • 新薬「FeliAIM」は2026年4月に承認申請され、2026年8月現在も審査中。市販のAIMフード・サプリとは別物
  • 10歳を超えたら少なくとも年2回の受診が推奨されている

数値が気になったとき、不安になるのは愛猫を大切に思っているからこそだと思います。ただ、その不安をひとりで抱えたり、ネットの情報だけで判断したりする必要はありません。気になることがあれば、遠慮なくかかりつけの獣医師に相談してください。「まだ様子見でいいのか」「次はいつ検査すべきか」を一緒に決めていくことが、いちばん確かな道筋です。

よくある質問(FAQ)

Q1. クレアチニンが基準値より少し高いと言われました。腎臓病でしょうか?

A. クレアチニンだけでは判断できません。この値は筋肉量や脱水など腎臓以外の要因でも上昇します。IRISのガイドラインでも、脱水がなく状態が安定している時に少なくとも2回測定することとされています。SDMA、尿比重、尿タンパク、血圧などとあわせて総合的に評価する必要がありますので、獣医師に追加検査について相談してみてください。

Q2. SDMAだけが高いと言われました。どう考えればいいですか?

A. SDMAは感度の高いマーカーですが、単独で使う検査ではありません。脱水などの影響を受けることもあります。他に腎疾患を示す所見がない状態でSDMAだけが高い場合は、期間をあけての再検査が勧められます。また、SDMAが高い中高齢の猫では腎結石の有無を画像検査で確認する価値があるという報告もあります。判断は獣医師に委ねてください。

Q3. 腎臓病と診断されたら、すぐに療法食に切り替えるべきですか?

A. 療法食は生存期間の延長が報告されている、証拠の強い治療です。ただし開始のタイミングはステージによって考え方が異なります。生存期間延長を示した研究の多くは、ステージ2以降の高窒素血症がある猫を対象としています。早期の猫にタンパク制限食が最適とは限らないという指摘もあるため、切り替えの判断は必ず獣医師と相談してください。

Q4. ステージ4と言われました。もう時間がないということでしょうか?

A. 生存期間中央値は103日と報告されていますが、同じ研究で報告された範囲は1日から1,920日(5年以上)と非常に幅があります。中央値は集団の真ん中の値であり、個々の猫の経過を予測するものではありません。治療への反応、合併症の有無、生活の質など、多くの要素が関わります。今後の見通しや、その猫にとって何を優先するかについては、担当の獣医師とよく話し合ってください。

Q5. 健康診断はどのくらいの頻度で受けるべきですか?

A. AAHA/AAFPのライフステージガイドラインでは、すべての猫に最低でも年1回、シニア(10歳超)には少なくとも6か月ごとの受診が推奨されています。7〜10歳の時期にも、将来の比較対象となるベースラインの検査データを取っておくことが勧められています。慢性疾患のある猫や、より高齢の猫では、状態に応じてさらに頻回の受診が必要になる場合があります。

Q6. AIMの新薬はいつから使えますか?

A. 2026年8月現在、まだ使用できません。2026年4月24日に「FeliAIM(フェリエイム)」として農林水産省へ製造販売承認申請が行われ、現在は審査中の段階です。開発者の宮﨑徹博士は2026年8月の講演で、承認までの見通しを「1年くらい」としつつ「今年度中には承認を受けられるのではないか」とも話していました。ただし確定した時期ではありません。詳しくはFeliAIMの専用記事で解説しています。

Q7. 市販の「AIM」フードやサプリを与えれば、腎臓病を治療できますか?

A. 市販のフード・サプリと、開発中の注射薬(FeliAIM)は別のものです。AIMはタンパク質であるため、口から摂取すると胃で消化・分解されてしまい、そのまま腎臓に届いて働くことはありません。市販品は猫自身のAIMの働きをサポートするコンセプトの食品であり、医薬品としての治療効果を示すものではありません。これらを与えることを理由に、療法食や処方された治療を中断しないでください。

出典・参考資料

ガイドライン

  • International Renal Interest Society (IRIS). IRIS Staging of CKD (modified 2026) / IRIS Treatment Recommendations. https://www.iris-kidney.com/iris-guidelines-1
    → ステージ分類表(クレアチニン・SDMAの閾値)、サブステージング、2回測定の原則、SDMAが持続的に25 µg/dLを超える猫をステージ3として扱う指針の根拠
  • International Renal Interest Society (IRIS). Reassessment of “normal” values in dogs and cats. https://www.iris-kidney.com/reassessment-of-normal-values-in-dogs-and-cats
    → 「クレアチニンはスクリーニングとして感度が低い」「SDMAの17か月という数字はクレアチニンの基準値の設定に依存する」という指摘の根拠
  • Sparkes AH, Caney S, Chalhoub S, Elliott J, Finch N, Gajanayake I, Langston C, Lefebvre HP, White J, Quimby J. ISFM Consensus Guidelines on the Diagnosis and Management of Feline Chronic Kidney Disease. J Feline Med Surg. 2016;18(3):219-239. doi:10.1177/1098612X16631234
    → 10歳以上の有病率(原文は「⩾30–40% of cats over 10 years of age」)、療法食が尿毒症の症状を減らし生存期間を有意に延ばすと示されていること、ACE阻害薬の単剤療法が高血圧の猫の多くで有効でないこと、アムロジピンが有効な単剤療法であることの根拠
  • Ray M, Carney HC, Boynton B, Quimby J, Robertson S, St Denis K, Tuzio H, Wright B. 2021 AAFP Feline Senior Care Guidelines. J Feline Med Surg. 2021;23(7):613-638. doi:10.1177/1098612X211021538
    → 猫が不調を隠す性質と定期的な身体検査の重要性、および「人と同じ間隔なら10〜11週ごと」という記述の根拠
  • 2021 AAHA/AAFP Feline Life Stage Guidelines. J Feline Med Surg. 2021;23(3):211-233. doi:10.1177/1098612X21993657 / J Am Anim Hosp Assoc. 2021;57(2):51-72. doi:10.5326/JAAHA-MS-7189
    → 年齢別の受診頻度(全猫に最低年1回、シニア=10歳超は少なくとも6か月ごと)とライフステージ区分の根拠

論文

  • Boyd LM, Langston C, Thompson K, Zivin K, Imanishi M. Survival in cats with naturally occurring chronic kidney disease (2000-2002). J Vet Intern Med. 2008;22(5):1111-1117. doi:10.1111/j.1939-1676.2008.0163.x
    → 診断時ステージ別の生存期間中央値(2b/3/4)と報告された範囲の根拠。組入基準はクレアチニン2.3 mg/dL以上で、ステージ1は含まれていない
  • Conroy M, Brodbelt DC, O’Neill D, Chang YM, Elliott J. Chronic kidney disease in cats attending primary care practice in the UK: a VetCompass™ study. Vet Rec. 2019;184(17):526. doi:10.1136/vr.105100
    → 一次診療施設での生存期間中央値388日、および集団によって数字が大きく変わることの根拠
  • Elliott J, Rawlings JM, Markwell PJ, Barber PJ. Survival of cats with naturally occurring chronic renal failure: effect of dietary management. J Small Anim Pract. 2000;41(6):235-242. doi:10.1111/j.1748-5827.2000.tb03932.x
    → 療法食による生存期間延長(633日 vs 264日)の根拠
  • Plantinga EA, Everts H, Kastelein AM, Beynen AC. Retrospective study of the survival of cats with acquired chronic renal insufficiency offered different commercial diets. Vet Rec. 2005;157(7):185-187. doi:10.1136/vr.157.7.185
    → 療法食による生存期間延長(16か月 vs 7か月)の根拠
  • International Renal Interest Society (IRIS). Diets for Cats with Chronic Kidney Disease (CKD). https://www.iris-kidney.com/diets-for-cats-with-chronic-kidney-disease-ckd
    → Elliott et al. 2000(療法食群 n=29・633日 vs 通常食群 n=21・264日)と Plantinga et al. 2005(16か月 vs 7か月)の実数の確認に使用
  • Ross SJ, Osborne CA, Kirk CA, Lowry SR, Koehler LA, Polzin DJ. Clinical evaluation of dietary modification for treatment of spontaneous chronic kidney disease in cats. J Am Vet Med Assoc. 2006;229(6):949-957.
    → 「複数の研究が療法食と尿毒症クリーゼの減少の関連を示している」の根拠
  • Hall JA, Yerramilli M, Obare E, Yerramilli M, Jewell DE. Comparison of serum concentrations of symmetric dimethylarginine and creatinine as kidney function biomarkers in cats with chronic kidney disease. J Vet Intern Med. 2014;28(6):1676-1683. doi:10.1111/jvim.12445
    → 「21頭中17頭で平均17か月早くSDMAが上昇(範囲1.5〜48か月)」の根拠。著者の多くは検査機器メーカー(IDEXX)の所属である点に留意
  • Hall JA, Yerramilli M, Obare E, Li J, Yerramilli M, Jewell DE. Serum concentrations of symmetric dimethylarginine and creatinine in cats with kidney stones. PLoS One. 2017;12(4):e0174854. doi:10.1371/journal.pone.0174854
    → FAQ Q2「SDMAが高い中高齢の猫では腎結石の有無を確認する価値がある」の根拠
  • Brown CA, Elliott J, Schmiedt CW, Brown SA. Chronic Kidney Disease in Aged Cats: Clinical Features, Morphology, and Proposed Pathogeneses. Vet Pathol. 2016;53(2):309-326. doi:10.1177/0300985815622975
    → 猫全体の有病率(原文は「ranged from 1% to 3%…to 50%」)と高齢猫の有病率(原文は「ranged from 35%…to 81%」)、多くが特発性であること、猫では糸球体疾患がまれで尿細管間質の障害が中心であることの根拠
  • Marino CL, Lascelles BD, Vaden SL, Gruen ME, Marks SL. Prevalence and classification of chronic kidney disease in cats randomly selected from four age groups and in cats recruited for degenerative joint disease studies. J Feline Med Surg. 2014;16(6):465-472.
    → 無作為抽出群86頭における年齢群別の有病率(6か月〜5歳 37.5%/5〜10歳 40.9%/10〜15歳 42.1%/15〜20歳 80.9%)の根拠。若い群でも高い値が出ており、診断基準の広さが数値に影響している例として使用
  • Merck Veterinary Manual. Renal Dysfunction in Dogs and Cats.
    → 腎性高窒素血症は約75%のネフロン喪失で発現、尿濃縮能の低下は約3分の2、CKD由来の臨床症状は75%以上(ステージ3〜4)という3つの閾値の根拠

AIM関連

  • Sugisawa R, Hiramoto E, Matsuoka S, Iwai S, Takai R, Yamazaki T, Mori N, Okada Y, Takeda N, Yamamura K-I, Arai T, Arai S, Miyazaki T. Impact of feline AIM on the susceptibility of cats to renal disease. Sci Rep. 2016;6:35251. doi:10.1038/srep35251
    → 猫のAIMがIgMから離れにくく「働きに出られない」ことの根拠
  • Tezuka T, Arakawa H, Kudo K, Takehara H, Morioka M, Ikeda K, Ikeda T, Yasuda K, Fujima Y, Kobayashi M, Okada Y, Arai T, Arai S, Miyazaki T. A clinical impact of apoptosis inhibitor of macrophage on feline chronic kidney disease. Vet J. 2026;315:106545. doi:10.1016/j.tvjl.2026.106545
    → 360日累積生存率(投与群80〜83%/無投与20%)、投与群の内訳(6頭・5頭)、著者らが「探索的・非確証的な研究」と明記していることの根拠
  • Arai S, Kitada K, Yamazaki T, et al. Apoptosis inhibitor of macrophage protein enhances intraluminal debris clearance and ameliorates acute kidney injury in mice. Nat Med. 2016;22(2):183-193.
    → AIMが腎臓の詰まりを取り除いて急性腎障害を改善するという、AIM補充の考え方の背景
  • 一般社団法人AIM医学研究所 宮﨑徹所長 特別講演「猫の腎臓病研究はどこまで進んだのか?」(第2回ねこフェス2026、2026年8月2日、さいたまスーパーアリーナ/筆者聴講)
    → FAQ Q6の承認見通し(「1年くらい」「今年度中には」)の根拠
  • 株式会社IAM CAT/一般社団法人AIM医学研究所「AIM猫薬『FeliAIM』の製造販売承認申請に関するお知らせ」2026年4月24日 https://iamaim.jp/2026/04/24/news0424/
    → 申請日・申請先の根拠
  • 一般社団法人AIM医学研究所(The Institute for AIM Medicine)公式サイト https://iamaim.jp/

その他の参考資料

  • Veterinary Ireland Journal. Diagnosing and staging early chronic kidney disease in cats. https://www.veterinaryirelandjournal.com/small-animal/411-diagnosing-and-staging-early-chronic-kidney-disease-in-cats
    → 「基準値内のクレアチニン値をもってステージ2と呼ぶのは分類システムの誤用である」という専門医の指摘の根拠
  • Canadian Veterinary Medical Association. Chronic Renal Disease & IRIS Staging. https://www.canadianveterinarians.net/media/rb4hk2nl/ckd-and-iris-staging.pdf

※本記事は情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とするものではありません。愛猫の健康状態に関する判断は、必ず獣医師にご相談ください。

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