トイレ掃除やスキンシップのついでに子猫を抱き上げて、「あれ、ちゃんと平均通りに育ってるのかな?」「体重が増えていない気がする」と不安になったことはありませんか?
この記事では、子猫(生後〜1歳)の体重がどのくらいのペースで増えるのが正常なのかを、査読付きの獣医学論文と獣医学の教科書で裏取りしたうえで解説します。
まずは、もっとも重要な結論からお伝えします。
- 新生子猫は1週間で50〜100g(1日あたり10〜15g)増えていれば正常。2週間で出生時体重の2倍が最低ラインです
- 「体重が平均値ぴったりか」よりも、毎日・毎週きちんと増え続けているかのほうが何倍も大切です
- 新生子猫が24時間まったく増えない、あるいは体重が減る——これは様子見せず、動物病院に相談すべきサインです
子猫、特に生まれて間もない時期は、体温調節も血糖の維持も不安定です。体重が伸びない状態は、その裏で何か起きている「最初のサイン」であることが少なくありません。獣医学の教科書は、こう書いています。
着実な体重増加は、新生子猫の健康を示す単一の指標として最良のものである。
Little SE (ed). The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd ed. Ch.46「小児科」(筆者訳)
我が家には2匹のオス猫(3歳のノルウェージャンフォレストキャットと8か月のサイベリアン)がいます。どちらも大型とされる品種ですが、成長のペースも仕上がりの体格もそれぞれ違い、体重の増え方に一喜一憂した経験があります。
📌 この記事の体重表について、先にお断りしておきます
調べた範囲では、「週齢ごとの子猫の体重」を数値表として公表している一次資料は見つかりませんでした。獣医学の教科書やガイドラインにあるのは、増え方の原則(1週50〜100g、2週で2倍、1か月で約0.45kgなど)だけです。
そこでこの記事の表は、確認できた原則から計算した目安として示します。どこかの機関が定めた公式な基準ではありません。計算の根拠も併せて書きますので、ご自身で確かめながら使ってください。
1. 子猫の体重は「成長のバロメーター」——どこまで信頼できるか
子猫の体重は、成長や年齢を見るうえで信頼できる指標です。これは感覚論ではなく、研究で確かめられています。
体重から子猫の月齢を推定できるかを調べた研究(DiGangiら、2020年)は、新生子猫246頭と、生後6〜20週の子猫1,310頭を対象にしています。
縦断的に測定された新生子猫における年齢と体重の決定係数(R²)は0.88であり、単一時点で測定された小児期の子猫では0.54であった。
DiGangi BA, et al. J Feline Med Surg. 2020;22(4):322-328(筆者訳)
同じ研究は、昔から使われてきた「1か月ごとに約0.45kg(1ポンド)増える」という経験則の精度も検証しています。この目安で推定した年齢が、実際の年齢と1週間以内で一致した割合がこちらです。
| 週齢 | 1週以内で一致した割合 |
|---|---|
| 2週 | 98.8% |
| 4週 | 95.1% |
| 6週 | 82.5% |
| 8週 | 77.6% |
| 10週 | 57.0% |
| 12週 | 46.6% |
| 16週 | 27.8% |
| 20週 | 17.9% |
この表がいちばん大事なことを教えてくれます。生後2週では98.8%が当たるのに、20週では17.9%まで落ちます。論文の結論はこうです。
体重は、10週齢までの子猫において年齢を予測する有効な手段であった。
DiGangi BA, et al. 2020(筆者訳)
つまり「体重表と照らし合わせて安心する」という使い方が通用するのは、せいぜい生後10週まで。それ以降は個体差が大きくなり、表の意味は薄れていきます。同研究は「この評価スケールはオス猫の年齢を過小評価する傾向があった」とも述べています。
2. 出生時の体重は、品種で大きく違います
表を見る前に、出発点を押さえておきます。獣医学の教科書は「典型的な子猫の出生時体重は90〜110g(範囲80〜140g)だが、品種によるばらつきが大きい」としています。
実際に約6,000頭を測定した2023年の研究では、こう報告されています。
出生時体重は36g(ペルシャ/エキゾチックの子猫)から182g(ノルウェージャンフォレストキャットの子猫)まで幅があり、平均は101.9g(標準偏差19.4)であった。
Mugnier A, Gaillard V, Chastant S. Animals. 2023;13(11):1822(筆者訳)
品種別の平均は、ペルシャ/エキゾチックが85.5g、メインクーンが119g。最小と最大では5倍の開きがあります。「出生時100g」を一律に当てはめられないことが分かります。
3. 【生後0週〜12週】体重の目安(計算による)
冒頭でお断りしたとおり、これは公式基準ではなく、次の原則から計算した目安です。
- 出生時体重:約90〜110g(教科書値)
- 増加ペース:1週間で50〜100g(=1日10〜15g)
- 2週齢までに出生時体重の2倍(最低ライン)
- 1か月あたり約0.45kg
| 週齢 | 体重の目安 | この時期のポイント |
|---|---|---|
| 0週(出生時) | 約90〜110g (品種により36〜182g) | 品種・母猫・同腹の数で差が出る |
| 1週 | 約150〜200g | 1週50〜100g増が正常の目安 |
| 2週 | 約200〜300g (最低でも出生時の2倍) | 目が開き始める |
| 3週 | 約250〜400g | よろよろ歩き始める |
| 4週(約1か月) | 約300〜500g | 離乳がスタート(3〜5週) |
| 6週 | 約450〜700g | 社会化の大切な時期 |
| 8週(約2か月) | 約600〜900g | 譲渡・お迎えの目安時期 |
| 10週 | 約750〜1100g | 体重で年齢を推定できる上限 |
| 12週(約3か月) | 約900〜1300g | 個体差が目立ち始める |
幅が広いことに驚かれるかもしれません。これは、出生時体重にすでに大きな差があり、そこに増加ペースの幅(週50〜100g)が積み重なるためです。実際の子猫の成長は、この程度にはばらつきます。
⚠️ この表の正しい使い方
「うちの子は何グラムだから正常/異常」と判定するための表ではありません。「前回より増えているか」を確かめたうえで、大きく外れていないかを見る——その程度の使い方が適切です。
4. 【生後3か月〜1歳】ここから先は「表」で見ないでください
生後3か月を過ぎると成長のスピードはゆるやかになり、同時に個体差が急激に大きくなります。前章のとおり、体重で年齢を推定できる精度は10週を境に急落します。
そして重要な事実があります。公表されている子猫の成長曲線(Saltら、2022年、雑種短毛種を対象)は8週齢から78週齢までをカバーしていますが、これはパーセンタイル線であって「この月齢なら何kg」という表ではありません。同論文はこう述べています。
同じパーセンタイル線に沿って推移していれば、成長は正常とみなすことができる。
米国猫獣医師協会(AAFP)が配布する成長チャートの記載(筆者訳)
つまり専門家が使っている道具ですら、「絶対値が正しいか」ではなく「その子の線が保たれているか」を見るものなのです。
そのうえで、家庭で参考にできるごく大まかな範囲を挙げておきます。
| 月齢 | おおまかな範囲 | この時期のポイント |
|---|---|---|
| 3か月 | 約1.0〜1.5kg | 遊び盛り。ワクチンの時期とも重なる |
| 4か月 | 約1.5〜2.2kg | 乳歯が生えそろってくる |
| 6か月 | 約2.3〜3.5kg | 成長カーブがゆるやかに。不妊手術の時期 |
| 9か月 | 約3.0〜4.5kg | オス・メスの差が明確に |
| 12か月(1歳) | 約3.0〜5.5kg | 雑種ではほぼ成猫サイズ。大型種はまだ途中 |
品種で判断してはいけない理由
「うちはメインクーンだから◯kgのはず」という見方は、実は根拠が薄いものです。猫種別・月齢別の公式な体重基準は存在しません。大型種は12〜18か月、場合によってはそれ以上かけてゆっくり大きくなるため、途中の月齢で表と比べても意味がありません。
判断に使えるのは体型(BCS)と推移です。実際の測定データと、家庭でできる体型チェックの手順はこちらにまとめています。
→ サイベリアンの体重目安|1歳までの見方と実測9週分のデータ
💡 体験談:「1歳で4.5kg」で心配した我が家のノルウェージャン
我が家のノルウェージャンフォレストキャット(オス)は、生後半年ごろにお迎えしました。大型種とされる品種ですが、1歳の時点で4.5kg。「うちの子は小さいままなのでは」とずいぶん心配しました。
ですが結論から言えば、何の問題もありませんでした。3歳になった今は4.8kg。毎日元気に走り回り、健康診断でも「体型に問題なし」と言われています。
大切なのは「平均や期待どおりの数字か」ではなく、「その子なりに健康を保って過ごせているか」です。
5. 論文が示す、子猫の体重の「3つの鉄則」
① 「1週50〜100g」が新生子猫の合格ライン
獣医学の教科書の記述はこうです。
正常な子猫は1週間あたり50〜100g(1日あたり10〜15g)増加し、2週齢までに出生時体重を倍にするべきである。
Little SE (ed). The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd ed. Ch.46(筆者訳)
原文は「週50〜100g」が主で、「1日10〜15g」はその換算値です。査読論文(Veronesi & Fusi、2022年)も「1週間で50〜100gの増加が期待される」と一致しています。
なお同論文が挙げる「1日平均10g(範囲7〜15g)」は、母猫がいない孤児子猫のデータです。母猫に育てられている子猫の値と混同しないでください。
② 「1か月で約0.45kg増」は研究で検証されている
前述のDiGangiら(2020年)が精度を検証しています。生後2〜4週では95%以上が当たる一方、20週では17.9%まで落ちる——「使える範囲が限られた経験則」というのが正確な理解です。
③ 不妊手術後は、1年で約24%重くなる
ここは具体的な研究があります。11週齢のメスの同腹子猫12組(計24頭)を、19週齢で避妊する群としない群に無作為に分けて1歳まで追跡したものです。
52週齢までに、避妊した子猫は未避妊の同腹子より24%(95%CI 11〜39)重く(P<0.0001)、ボディコンディションスコアは16.6%高かった。
Alexander LG, Salt C, Thomas G, Butterwick R. Br J Nutr. 2011;106(S1):S19-S23(筆者訳)
興味深いのは食欲の変化が一時的だった点です。避妊後の食事量は10週後にピーク(未避妊より17%多い)を迎え、18週後には差がなくなりました。つまり手術後の数か月が、体重管理のいちばんの分かれ目ということになります。
ただし24頭という小規模な研究である点、メスのみを対象としている点は押さえておいてください。
術後の食事管理については、こちらで詳しくまとめています。
→ 猫の去勢・避妊後の体重管理|術後なぜ太る?4つの鉄則
6. 「平均体重ぴったりじゃない」と悩む前に
「平均値に合っていないと異常なのでは?」と悩む飼い主さんは多いですが、これは誤解です。
前述のとおり、出生時体重だけでも36g〜182gという5倍の開きがあります。そこに性別、飲めている母乳の量、同腹の数といった要因が重なります。
見るべきは「平均値との一致」ではなく、その子自身の右肩上がりの曲線です。少し小柄でも、毎日・毎週しっかり増えているなら順調と考えてよいでしょう。逆に、平均どおりの重さでも「昨日からまったく増えていない」なら注意が必要です。
7. 出生時体重が軽い子猫は、死亡率が大きく変わります
ここは重い話ですが、知っておく価値があります。約6,000頭を追跡した2023年の研究が、出生時体重と生後2か月までの死亡率を報告しています。
| 出生時体重 | 生後2か月までの死亡率 |
|---|---|
| 正常出生体重 | 4.5%(95%CI 3.9〜5.2) |
| 低出生体重 | 16.5%(95%CI 14.3〜19) |
| 超低出生体重 | 50.9%(95%CI 41〜60.8) |
超低出生体重では、半数が2か月を迎えられません。同研究は品種ごとに閾値が異なることも示しており、低出生体重の基準は品種平均の68〜113%、超低出生体重は54〜82%と幅がありました。
さらに同じ研究グループの2024年の報告は、出生後の増え方そのものがリスクを左右することを示しています。
出生から2日目までの体重減少(または体重増加の欠如)は、生後0〜2か月の死亡の危険因子として同定された。
Mugnier A, et al. Front Vet Sci. 2024;11:1419383(筆者訳)
小さく生まれた子猫でも、最初の数日でしっかり増やせるかどうかで、その後が変わるということです。だからこそ、生まれてすぐの体重測定に意味があります。
8. 体重が増えない・減る原因
体重が伸びない・減るときは、「エネルギーが入っていない/使いすぎている/使えない」のいずれかの原因が隠れています。
- 栄養・授乳の問題(最も多い):母乳やミルクが足りない、うまく吸えない、兄弟に押し負けるなど
- 低出生体重:前章のとおり、死亡率が明確に高くなります
- 感染症:猫汎白血球減少症(パルボ)や細菌感染、寄生虫など
- 消化器トラブル(下痢など):栄養を吸収できず脱水が進む
- 低体温・低血糖・脱水:「低体温 → 飲めない → 低血糖 → さらに弱る」という悪循環に注意
- 先天的な異常:心臓・消化管・骨格などに生まれつきの問題がある場合
「衰弱子猫症候群(fading kitten syndrome)」とは
査読誌の定義はこうです。
衰弱子猫症候群とは、同腹の子猫の1頭以上が、一見健康に生まれながら、次第に活動性を失い、病気になり、死亡する状態である。
Münnich A. J Feline Med Surg. 2022;24:243-256(筆者訳)
同論文は「最も高い死亡率は生後2週間以内に起こり、子猫の死亡の半数以上がこの時期に集中する」としています。体重が増えないことは、この症候群の最初のサインになりえます。
9. 病院へ行くタイミング|基準は「24時間」です
査読誌に基づく明確な基準があります。
子猫への補助給餌が適応となるのは、生後24時間以内に出生時体重の10%を超えて減少した場合、または出生時体重がその品種の平均を25%以上下回る場合である。
(介入を要する徴候として)24時間にわたる体重増加の欠如。
Münnich A. J Feline Med Surg. 2022(筆者訳)
⚠️ 「48時間まで様子を見る」ではありません
ネット上には「24〜48時間増えなければ」といった記述も見られますが、査読資料で確認できる基準は「24時間」です。48時間という緩い基準の根拠は見つかりませんでした。
新生子猫は体力の余裕がありません。安全側に倒して「24時間増えなければ相談」と考えてください。
家庭での目安を整理します。※成長が速く体力の余裕も少ない生後2〜3か月ごろまでの子猫を想定した基準です。
- 【正常】体重が緩やかに右肩上がりを続けている。数字が目安から多少ずれていても、増えていればOK
- 【注意】24時間まったく増えない。元気や食欲がいつもより落ちている
- 【危険(受診レベル)】体重が減っている(特に出生時体重の10%以上の減少)。ぐったりして反応が鈍い。呼吸が苦しそう、下痢や嘔吐がある
月齢が上がると「判断の時間軸」が変わる
半年を過ぎたころには体が大きくなり、食事や排泄による数十グラムの上下が日常的に起こります。同じ「体重が減った」でも意味がまったく違います。
| 時期 | 見るものさし | 受診を考える目安 |
|---|---|---|
| 新生〜生後2〜3か月 | 1日単位 | 24時間の停滞、体重の減少 |
| 3か月〜半年ごろ | 週単位 | 数週間まったく増えない、減少が続く |
| 半年以降 | 月単位 | 2週以上続けて減る、1か月増えない |
半年を過ぎた猫で1週だけ数十グラム減っていても慌てる必要はありません。しかし生まれたばかりの子猫では見過ごしてはいけません。
最終的な診断は獣医師の判断によります。体重の記録グラフや、気になる様子を撮ったスマホの動画を持っていくと診察がスムーズです。定期的な健康診断とあわせて見ておくと安心です。
→ 猫の健康診断はいつから?年齢別の頻度・検査内容・費用の目安
10. 家庭でできる体重の測り方
測定の頻度
教科書の推奨はかなり具体的です。
新生子猫の世話をする者は、生後2週間は1日2回、その後少なくとも2〜4週間は1日1回、子猫の体重を測るよう指導されるべきである。
Little SE (ed). The Cat, 2nd ed. Ch.46(筆者訳)
査読論文(Veronesi & Fusi、2022年)は「2週齢までは毎日、その後は離乳が完了するまで週2回」としており、資料間で頻度に幅があります。いずれにせよ、新生期は「毎日」が最低ラインと考えてください。
測り方のコツ
- 毎日同じタイミングで測る:食前・食後などを固定してブレを減らす
- グラム単位で量れるスケールを使う:教科書は「グラムまたはオンス単位で測れるはかり(キッチンスケールなど)」としています。1日10〜15gの変化を捉えるので、10g刻みでは足りません
- 記録は線でつなぐ:ノートやアプリに折れ線で記録し「増えているか」を可視化する
- 月齢が上がったら“体格”も見る:3か月を過ぎたら、肋骨に軽く触れられるかなど手ざわりで体型(BCS)を確認する
BCSの判定手順は、5段階と9段階の違いも含めてこちらで解説しています。
→ 猫のぽっちゃりは肥満?手で見分ける方法と安全なダイエット
毎日の記録が続かない方へ
動き回る子猫を毎日スケールに乗せるのは大変です。我が家では「Catlog Board(キャトログボード)」というスマート体重計を活用しています。
トイレの下に置いておくだけで、猫がトイレに行くたびに自動で体重が測られ、アプリに記録されるので便利です。手動の手間がゼロになり、わずかな増減の“流れ”に気づきやすくなります。
体調トラブルの早期発見やダイエットに。【Catlog Board】ただし、新生子猫には向きません。トイレを自分で使えるようになってからの道具です。生後間もない時期は、キッチンスケールでの手測定が必要だとご理解ください。料金や向き不向きはこちらで整理しています。
→ Catlog Boardの実際|できること・料金・向き不向き
※価格・仕様は変動する場合があります。購入前に公式情報をご確認ください。
11. よくある質問(FAQ)
Q1. 体重表より軽いのですが、大丈夫でしょうか?
増え続けているなら、多くの場合は問題ありません。出生時体重だけでも36g〜182gという5倍の開きがあり、そこに増加ペースの幅が積み重なります。この記事の表も公式基準ではなく、原則から計算した目安です。見るべきは表との一致ではなく、その子自身の右肩上がりの線です。
Q2. 何時間増えなければ病院に行くべきですか?
新生子猫では24時間です。査読誌は「24時間にわたる体重増加の欠如」を介入が必要な徴候として挙げ、「生後24時間以内に出生時体重の10%を超えて減少した場合」は補助給餌の適応としています。48時間まで様子を見てよいという根拠は確認できませんでした。月齢が上がれば時間軸は週単位・月単位に変わります。
Q3. 体重は何グラム単位で測ればいいですか?
教科書は「グラムまたはオンス単位で測れるはかり」としか書いておらず、「1g単位が必要」という記述は一次資料では確認できませんでした。ただし1日10〜15gの変化を捉える必要がある以上、10g刻みのはかりでは判断できません。キッチン用のデジタルスケールで十分です。
Q4. 何歳まで体重表で判断できますか?
おおむね生後10週までです。体重から年齢を推定する研究では、生後2週で98.8%が実年齢と1週以内に一致したのに対し、20週では17.9%まで落ちました。論文の結論も「体重は10週齢までの子猫において年齢を予測する有効な手段であった」となっています。それ以降は表ではなく、体型と推移で見てください。
Q5. 品種別の体重表はありますか?
猫種別・月齢別の公式な体重基準は存在しません。出生時体重には品種差がありますが(ペルシャ85.5g、メインクーン119g)、月齢ごとの基準表を示した一次資料は確認できませんでした。大型種は12〜18か月かけて成長するため、途中の月齢で比べても意味が薄いのが実情です。
Q6. 不妊手術のあと、どのくらい太りますか?
メスの子猫24頭を1歳まで追った研究では、52週齢で避妊群は未避妊群より24%重く、ボディコンディションスコアも16.6%高いという結果でした。食事量の増加は避妊10週後にピークを迎え、18週後には差がなくなっています。手術後の数か月が体重管理の分かれ目ということになります。ただし24頭・メスのみの小規模研究です。
12. まとめ
- 新生子猫は1週50〜100g(1日10〜15g)増、2週で出生時体重の2倍が最低ライン
- 体重表で判断できるのは生後10週まで。それ以降は精度が急落します
- 個体差はとても大きい。出生時体重だけで5倍の開きがあります。平均との一致ではなく、右肩上がりに増え続けているかが重要
- 新生子猫は24時間の停滞で相談、体重減少は緊急
- 測定は生後2週は1日2回、その後2〜4週は毎日
子猫の体重計は、毎日届く小さな成長レポートです。その変化に真っ先に気づけるのは飼い主さんだけ。今日の一回の測定から、ほんの少し“増え方”に目を向けてみてください。
出典・参考文献
本文中の記述の根拠として実際に使用した資料を、用途を明記して挙げます。
- DiGangi BA, Graves J, Budke CM, Levy JK, Tucker S, Isaza N. Assessment of body weight for age determination in kittens. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2020;22(4):322-328. doi:10.1177/1098612X19844846 → この記事では、新生子猫246頭・小児期子猫1,310頭を対象としたこと/年齢と体重の決定係数R²が新生期0.88・小児期0.54であったこと/「1か月あたり0.45kg」の目安が実年齢と1週以内に一致した割合(2週98.8%、4週95.1%、6週82.5%、8週77.6%、10週57.0%、12週46.6%、16週27.8%、20週17.9%)/「体重は10週齢までの子猫において年齢を予測する有効な手段であった」という結論/オス猫の年齢を過小評価する傾向があったことの根拠として使用
- Little SE (ed). The Cat: Clinical Medicine and Management, 2nd edition. Elsevier, 2024. Chapter 46「Pediatrics」 → この記事では、「正常な子猫は1週間あたり50〜100g(1日あたり10〜15g)増加し、2週齢までに出生時体重を倍にするべきである」/「着実な体重増加は、新生子猫の健康を示す単一の指標として最良のものである」/出生時体重90〜110g(範囲80〜140g)と品種によるばらつき/新生期は生後4週間であること/測定頻度(生後2週は1日2回、その後2〜4週は1日1回)/「グラムまたはオンス単位で測れるはかり」という記述の根拠として使用
- Mugnier A, Gaillard V, Chastant S. Association between Birth Weight and Mortality over the Two First Months after Birth in Feline Species: Definition of Breed-Specific Thresholds. Animals. 2023;13(11):1822. doi:10.3390/ani13111822 → この記事では、出生時体重が36g〜182g・平均101.9gであったこと/品種別平均(ペルシャ/エキゾチック85.5g、メインクーン119g)/生後2か月までの死亡率が正常出生体重4.5%、低出生体重16.5%、超低出生体重50.9%であったこと/品種ごとに閾値が異なることの根拠として使用
- Mugnier A, Gaillard V, Chastant S. Impact of compensatory growth on survival in newborn kittens. Frontiers in Veterinary Science. 2024;11:1419383. doi:10.3389/fvets.2024.1419383 → この記事では、「出生から2日目までの体重減少(または体重増加の欠如)は、生後0〜2か月の死亡の危険因子として同定された」という記述の根拠として使用
- Münnich A. Fading kitten syndrome: factors predisposing to ‘faders’ and treatment options. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2022;24:243-256. doi:10.1177/1098612X221079710 → この記事では、衰弱子猫症候群の定義/最も高い死亡率が生後2週間以内に起こり、子猫の死亡の半数以上がこの時期に集中すること/「24時間にわたる体重増加の欠如」が介入を要する徴候であること/「生後24時間以内に出生時体重の10%を超えて減少した場合」が補助給餌の適応であることの根拠として使用
- Veronesi MC, Fusi J. Feline neonatology: from birth to commencement of weaning – what to know for successful management. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2022. doi:10.1177/1098612X221079709 → この記事では、「1週間で50〜100gの増加が期待される」という記述/「1日平均10g(範囲7〜15g)」が孤児子猫のデータであること/測定頻度(2週齢までは毎日、その後は離乳完了まで週2回)/離乳の時期の根拠として使用
- Alexander LG, Salt C, Thomas G, Butterwick R. Effects of neutering on food intake, body weight and body composition in growing female kittens. British Journal of Nutrition. 2011;106(S1):S19-S23. doi:10.1017/S0007114511001851 → この記事では、11週齢のメス同腹子猫12組(計24頭)を対象としたこと/52週齢で避妊群が未避妊群より24%(95%CI 11〜39)重く、BCSが16.6%高かったこと/食事量の増加が避妊10週後にピーク(17%多い)を迎え、18週後には差がなくなったことの根拠として使用
- Salt C, German AJ, Henzel KS, Butterwick RF. Growth standard charts for monitoring bodyweight in intact domestic shorthair kittens from the USA. PLoS One. 2022;17(11):e0277531. doi:10.1371/journal.pone.0277531 / 米国猫獣医師協会(AAFP)配布の成長チャート → この記事では、公表されている成長曲線が8〜78週齢を対象としパーセンタイル線であること/「同じパーセンタイル線に沿って推移していれば、成長は正常とみなすことができる」という記述の根拠として使用
- Quimby J, Gowland S, Carney HC, DePorter T, Plummer P, Westropp J. 2021 AAHA/AAFP Feline Life Stage Guidelines. Journal of Feline Medicine and Surgery. 2021;23(3):211-233. doi:10.1177/1098612X21993657 → この記事では、子猫期が「出生から1歳まで」と定義されていること/離乳が3〜5週齢から始められることの根拠として使用
確認できなかったこと
調べたものの原典で確認できず、この記事に書かなかったことを記しておきます。
- 週齢ごとの体重の数値表——公表している一次資料は見つかりませんでした。この記事の表は原則から計算した目安です
- 「24〜48時間」という受診の目安——査読資料で確認できるのは24時間のみでした
- 「1g単位のスケールが必要」——教科書は「グラムまたはオンス単位で測れるはかり」としか書いていません
- 成猫用フードへの切り替え時期——AAHA/AAFP・AAFCO・WSAVAのいずれにも月齢の記載を確認できませんでした
- 日本の公的機関・学会による子猫の体重データ——確認できませんでした。アニコム損保の『家庭どうぶつ白書』2024年版・2025年版にも子猫の体重データはありません
※本記事の商品リンクにはアフィリエイト等のプロモーションを含みます。紹介する商品は、あくまで体重管理の選択肢のひとつとしてご案内するものです。
※本記事は情報提供を目的としたもので、獣医師による診断・治療に代わるものではありません。記載している数値は主に海外の研究・教科書に基づいており、日本の環境と一致しない場合があります。体重の停滞・減少や体調の異変に気づいたときは、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。


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